CSR・環境|ごあいさつ|井関農機株式会社

井関グループのCSR

トップメッセージ

代表取締役社長執行役員 冨安司郎

創業の志を受け継ぎ、世界の農業に貢献する

 私たち井関グループは、創業者井関邦三郎の「農家を過酷な労働から解放したい」という熱い想いを原点に、1926年の会社創立以来、農業機械の総合専業メーカーとしてわが国農業の近代化に貢献してきました。その間、
一貫して農業の効率化、省力化を追求し続け、その過程のなかで画期的な農業機械を他に先駆けて開発し、市場に供給してきました。
 世界人口の増加や食料問題、食料自給率や国土保全、地球環境問題などを考えますと、農業の果たす役割は大きく、農業機械メーカーの社会的使命はますます重要になると考えております。今後も、「お客さまに喜ばれる製品の提供」を通して、わが国ならびに世界の農業に貢献することを経営の基本理念として活動を続けてまいります。

市場の変化スピードを上回る「変革」を着実に実行

 井関農機は、2025年に創立100周年を迎えます。来る100周年には国内だけでなくグローバルマーケットでも
農業機械総合専業メーカーとして確固たる地位を築くことを中期ビジョンとしています。現中期経営計画では、
キーワードを「変革」とし、5つの基本戦略を策定し実行しています。これまで培ってきた当社の強みを発揮し、
世界の市場で競争力のある商品づくりと提案により、国内農業構造変化への対応強化と海外事業の拡大、ならびに
組織、ガバナンスの強化にグループを挙げて取り組んでまいります。国内外の市場は大きく変化しており、それを
上回るスピードでの「変革」を我々は着実に実行し、持続的な企業価値向上に努めてまいります。

基本戦略① 激変する国内農業への対応強化

 国内農業は、農業従事者の高齢化や担い手不足を背景とした大規模化、主食用米から畑作・野菜作への作付転換など、農業の構造変化が加速しています。我々井関グループは、この変化に対し、より一層スピードを上げ、ハードとソフトの両面で対応を強化してまいります。
 まずハード面では、低価格シンプル機や先端技術、野菜作機械など、当社の高い技術力を活かした市場ニーズに対応した商品開発への取り組みを強化しています。特に、2025年までに担い手農家のほとんどがデータを活用する「スマート農業の実現」が政策目標として掲げられ、先端技術の導入・実証が進むなか、大型でICT技術搭載の「オールジャパンシリーズ」をすでにトラクタ・コンバインに投入し、営農支援ソフト「アグリノート」との連携などによりさらに競争力を向上させています。
 次にソフト面では、先進的営農技術の研究・実証や担い手への普及支援を行う「夢ある農業総合研究所」、「ISEKIグローバルトレーニングセンター」を中心に、市場ニーズに対応できる人材を育成し、サービス力、提案
・サポート力のさらなるレベルアップを図っています。
 また当社グループの販売体制面では、地域に根差したビジネスである農業をサポートするために、全国に広域の直系販売会社を中心とした販売網を張りめぐらせています。これは国内事業を進めるうえでの強みであると考えており、この強みを強化し大規模化する市場への対応を加速させています。具体的には、大型整備センターを核とした営業拠点の整備と人員再配置を進めるとともに、ここ2年間では広域直系販売会社を10社から7社に再編するなど、マーケットの変化に合わせて、広域化・大型化した体制に転換し効率化を推進しています。
 ハードとソフトの両面からの対応に加え、販売体制の強化により、日本の農家の「夢ある農業」を応援することを通じて、激変する国内農業への対応強化を図ってまいります。

基本戦略② 海外事業の拡大

 海外事業の拡大海外は、北米・欧州・中国・アセアン市場を4極の柱とし、各市場における戦略パートナーとともに、事業領域の拡大に取り組んでいます。
 まず、北米市場は、OEM先との協業を一層強化し、顧客ニーズに合わせた品揃えの拡充でさらなる売上の拡大を目指しています。特に、2018年に投入した小型トラクタは好調で売上拡大に寄与しています。今後もこれらを武器に北米市場でのシェアアップを図ってまいります。
 次に欧州市場は、ISEKIフランス社を事業展開の核とし、主に芝刈機や小型トラクタなどの景観整備用の機械を中心に販売しています。今春には、厳しい環境規制である欧州StageⅤ対応エンジンを内製化し、搭載した新商品を投入しました。これら新商品を梃に、欧州における「ISEKI」ブランドのさらなる構築を図るとともに、サービス・サポート体制を強化し、売上・シェア拡大に注力してまいります。
 成長エンジンとして位置付ける中国・アセアン事業は、合弁先パートナーとの協業を一層強化し業容の拡大に取り組んでいます。
 中国市場では、農機市場の成熟化や現地メーカーを含めた販売競争が激化するなか、中国国内での一層の事業発展と事業運営の現地化を図るため、戦略パートナーである東風汽車グループが東風井関農業機械有限公司(以下、東風井関)への追加出資を行いました。これに伴い、当社の出資比率が50%から25%に変更となりましたが、中国市場の潜在力の大きさから、当社グループにとって中国事業の重要性は変わることなく、引き続き東風井関への製品・部品の輸出や当社の高機能・先端機種などの技術供与など技術面でのサポートを中心に展開してまいります。
 アセアンの主戦場であるタイでは、2013年からISTファームマシナリー社での販売を通じて「ISEKI」ブランドの構築を図ってきました。また、2016年にはタイ市場だけでなくアセアン全域における当社製品の販売・サービス力のさらなる強化のため、ISEKIタイランド社を設立しました。今後、合弁先パートナーとの協業を一層強化することにより、タイでの事業を確立するとともにタイ周辺国への販路拡大を目指します。
 また、2018年末には世界最大のトラクタ市場のインドにおいて第2位の大手農機メーカーTAFE社と技術・業務提携契約を締結しました。今後、インド市場において同社による当社製品の販売や中型トラクタの製造などを通じ、事業展開を図ってまいります。
 地域の特性を活かした商品開発、生産、販売ならびにサービス体制を強化するとともに、それらを支える人材の育成強化に取り組み、海外事業の拡大を図ってまいります。

基本戦略③ 開発・生産最適化による収益力の強化

 当社グループは、販売競争が激化する内外市場に競争力ある商品を投入すべく、開発製造部門を中心にコスト
構造改革を推進しております。設計の標準化・共通化による開発のスピードアップや原価低減、製造現場における
工数低減や間接業務改善など、徹底的な効率化による生産性向上に向けた取り組みを継続強化するほか、生産負荷変動への対応力の強化を図っております。また、アセアン市場における生産拠点の核、PT.ISEKIインドネシアの生産量は年々増えており、調達先適正化や現場改善など収益拡大の取り組み強化と生産能力の増強によりさらなる事業拡大を図ってまいります。「グローバル戦略商品プロジェクト推進部」が海外商品の収益向上に向けた取り組みを引き続き総括管理するとともに、今後もグループを挙げてコスト構造改革を継続し収益力の向上に取り組んでまいります。

基本戦略④ 成長に向けた積極的な設備投資

 激変する市場への対応を図るため、国内市場においては、整備センターの大型化・充実をはじめ、営業拠点の
整備を進めており、今後もさらなる充実を図ってまいります。
 拡大する海外市場においても、北米・欧州・アセアン向け戦略機の生産拠点であるPT.ISEKIインドネシアでの
生産能力増強のための投資を行っています。
 また、国内生産拠点についても、排出ガス規制対応エンジン内製化のためのライン増設などにより、さらなる商品競争力向上に向け布石を打つとともに、技術革新による効率化を企図した生産設備の増強など、内外の成長に向けた積極的な設備投資に取り組んでまいります。

基本戦略⑤ 人材・ガバナンス強化による企業価値向上

 激変する国内農業への対応強化、海外事業の拡大など、開発・生産・営業各部における事業活動を支える人材確保と育成に加え、「働き方改革」への対応が課題となっております。
 当社は、開発の若手設計者や国内外の生産現場で活躍する人材、国内外の販売・サービス人材など専門性の高い人材を育成するため、それぞれトレーニングセンターを整備し、人材育成強化に努めております。「働き方改革」への対応には、個々人での「ムリ・ムダ・ムラ」の徹底排除を通じた業務効率化に加え、組織横断的な効率化テーマの推進や業務そのものの見直しなどにより、生産性向上と多様な働き方に対応できる職場づくりを推進しております。
 企業の社会的責任として、内部統制及びコンプライアンスの強化に取り組んでおります。関係法令・規則の順守はもとより、役職員一人ひとりの高い倫理観と社会的良識を持った責任ある行動を目指し、啓蒙活動や社内教育を徹底してまいります。
 また、ガバナンスの強化については、取締役候補者の選任プロセスを透明化するため、独立社外取締役を主要な構成員とする「指名諮問委員会」を2018年に設置しました。取締役の選解任に関する株主総会議案の提案及び代表取締役の選定・解職などについて、同委員会での審議・答申を踏まえ決定していく手続きとしています。なお、
同委員会については、指名に関する事項に加え、2020年3月に取締役の報酬における審議・答申の機能を追加し、「指名報酬委員会」として再編しています。

100周年に向け井関らしいストーリーを描く

 当社グループは創立100周年となる2025年の中期ビジョン「農業機械総合専業メーカーとして、国内・海外市場で 確固たる地位を築く」の実現に向けた2016年に前半5ヶ年を重要なステップと位置づけ中期経営計画を策定し、5つの基本戦略を軸として活動してまいりました。2019年は、国内外とも当初想定していた事業環境に大きな変動が生じ、不本意ながら前年を下回る業績となりましたが、5つの基本戦略については、その妥当性は確かなものと考えており、引き続き着実に実行してまいります。
 当社グループを取り巻く環境は大きく変化しております。気候変動などの環境問題やSDGsをはじめとするさまざまな社会課題、多様化するニーズや新しいデジタル技術の活用などに加え、経済情勢や農業環境の変化に伴う
需要動向、自然災害や感染症の拡大など業績に影響を及ぼす可能性のあるリスクも複雑化・多様化しております。
 これらリスクの低減や機会を創出する方策を検討し、不確実な時代においても持続的な成長につながる、100周年に向けた新たな中期経営計画を策定していく予定です。当社が目指す方向性を定めるとともに、当社の強みと
弱みを再認識し、井関らしい価値創造ストーリーを描いてまいります。
 さて、足許では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19) の世界規模での拡大の影響は少なからず生じております が、当社グループは「食」や「農」を担う生産者の皆さまを支える企業として、感染症拡大防止の取り組みを実施し影響を最小限に抑えつつ事業活動を継続し、社会に貢献して まいります。

 

豊かで時速可能な社会の実現へ貢献していく

事業活動を通じた価値創造で、SDGsの実現にも貢献 さて、世界では、2050年の総人口は97億人になると予想され、食料生産を大幅に引上げる必要があります。
しかしながら、世界的に見ると、アフリカやアジアなどの途上国では、機械化の遅れや灌漑の未整備も多く、生産性向上や機械化による効率的な食料生産が求められています。一方、日本や韓国、台湾などにおいては、農業人口の減少や高齢化、農業の大規模化などが進み、農業機械の大型化や先端技術の活用などによるさらなる省力化・効率化に加え、高付加価値化や環境への配慮などが求められています。井関グループは、地域毎に異なる課題や多様化するニーズに対応した商品の開発・提供に加え、営農提案・サポートなどにより“持続可能な農業の促進、強靭な農業の実践”に貢献してまいります。また、欧米市場を中心に提供している乗用芝刈機やコンパクトトラクタは、公園や緑地の整備や道路清掃、除雪といった景観整備に活用されており、“景観整備を通じたまちづくり”に貢献し地域の人々の生活を支えています。井関グループでは、事業活動を通じて、社会的価値と経済的価値を同時に創出することで、「豊かで、持続可能な社会の実現へ貢献する」ことを目指しております。こうした当社の事業活動は、2030年をゴールとして国連サミットで策定された「持続可能な開発目標(SDGs)」への貢献につながるものと考えております。井関グループが取り組むべき社会課題と経営戦略を結びつけた重要課題を特定しています。“持続可能な農業の促進、強靭な農業の実践”では目標2「飢餓をゼロに」や目標1「貧困をなくそう」の実現に、“景観整備を通じたまちづくり”では目標11「住み続けられるまちづくりを」の実現に貢献できると考えております。

  • 貧困をなくそう
  • 飢餓をゼロに
  • 住み続けられるまちづくりを

持続可能な社会形成を可能とする環境保全 地球温暖化などの気候変動への対応をはじめ環境問題は世界共通の課題となっております。
 井関グループは持続可能な社会形成を可能とする環境保全を重要課題のひとつとし、グループ全体に環境マネジメントシステムを導入しています。それぞれの事業活動や地域の特色に即した環境保全活動を展開してまいります。
 また、商品開発の初期段階から具体的な環境目標設定と推進管理体制を構築し、環境負荷を低減する商品(エコ商品)の開発・普及にも取り組んでいます。

人づくり 課題解決を果たすのはすべて人であり、「人づくり」が重要であると考えています。開発・生産現場に欠かせない技術・技能の向上や伝承、お客さまに総合的に営農提案できる、あるいはグローバルに活躍できる人材の育成に加え、多様な人材の活用としてダイバーシティも推進しています。
 また、社会における女性の活躍や子供たちの成長に向けた活動にも積極的に取り組んでいます。女性農業者を対象にした研修会や子供たちへの食農イベントやものづくりイベントなど、学習の機会を提供してまいります。
 引き続き「豊かで、持続可能な社会の実現へ貢献する」ことを目指し、ステークホルダーの皆さまとともにさまざまな課題の解決に取り組んでまいります。

 

100周年にその先にも…「なくてはならない企業」へ

 当社は95年間、農家に寄り添い、農家の皆さまとともに農業の発展に貢献してきました。これからも“夢ある農業応援団 ISEKI”をスローガンに、グローバルベースで農業の発展に貢献してまいります。そのためにも、国内の農業構造の変化や世界での人口増加による食料不足などの課題に対して、改めて原点に戻り、農業機械のフロントランナーとしての誇りを持って「変革」に取り組んでいきます。また、新型コロナウイルス感染症拡大により、世界中の人々の暮らしや働き方が一変しました。収束後もすべてが元に戻るのではなく、これまでとは異なるニューノーマルへの対応が求められます。井関グループは今まで以上に「変革」を進めてまいります。農業は「食」を支える根幹であり重要な産業です。今後は「食」への意識が変わり、食料自給率がより重視されるなど、さらに農業の重要性が増すのではないかと考えております。当社はその農業を支える「なくてはならない企業」であり続けなければなりません。2025年の100周年、そしてその先の将来にも存在感を発揮し続けるために、一層の「変革」を進め、企業価値向上に努めてまいります。

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