大豆300A技術
水田を利用した大豆栽培では、播種時の湿害による発芽不良が単収・品質の低下原因として問題視されていました。この問題を解決するために、(独)農業・食品産業技術総合研究機構が開発した新しい耕起・播種技術が「大豆300A技術」です。
ちなみに「300A」とは、「単収300㎏、品質Aクラスの生産を実現する」という意味です。
大豆300A技術は、地域の気象条件や土壌条件に応じて「不耕起狭畦密植播種技術」「有芯部分耕栽培技術」「耕うん同時畦立て播種技術」「小明渠作溝同時浅耕播種技術」等に分類されます。
湿害の影響が大きい排水性に劣る圃場でオススメ
アップカットロータリの爪配列を右図のように変え、逆転耕により耕うん・砕土しながら畦成形し、施肥・播種を同時に行う技術です。
畦の高い部分に播種されるため、湿害が軽減されるほか、出芽以降の生育が良好で、収量の安定が期待できます。
特徴 | |
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● 畦を立てた上に播種を行うため、排水性の劣る圃場で湿害を回避できる。 ● 畦間が明渠の役割を果たす。播種後に豪雨があった場合でも種子の水没を回避できる。 |
● アップカットロータリや2WAYロータリ等の砕土性に優れたロータリを用いるため、事前の砕土作業が不要。省力化できる。 ● 排水性の劣る重粘土質の圃場でも対応できる。 ● 中耕培土を行うので、倒伏しにくい。 |
排水対策が万全な大区画圃場でオススメ
耕起を行わずに播種し、密植により雑草抑制する技術です。
中耕培土も行わないため、大幅な省力化を図りつつ、従来の栽培方法と同等以上の収穫量も期待できます。
集落営農などで大規模な作付けが可能な地域での導入が期待される技術です。
特徴 | |
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● 耕起・砕土作業を行わないため、梅雨時期にあたる麦後大豆の播種作業期間が増える。 ● 多少の土壌の湿りでも作業ができる(耕うん播種体系では土壌が湿っていると作業が不可能)。 ● 降雨で土壌表面にクラストが形成されやすい粘土質の土壌でも、播種後のクラスト形成による発芽不良を回避できる。 |
● 播種作業が高速で行えるため、作業効率が高い。 ● 条間30cmの狭畦で大豆を繁茂させることで雑草発生を抑制する効果が期待できる。 ● 中耕培土作業の省略により畦を立てないため、土壌表面が平らで硬くコンバイン収穫作業性が高い。 ● 作業機が大型であるため、中・小型のトラクタでは作業ができない。 |