実証

2023.12.14更新者:ISEKI

若手社員、水稲の密播疎植に挑戦!!:田植え編

若手社員、水稲の密播疎植に挑戦!!:田植え編

※本記事は2021年5月28日に井関農機㈱のHP(夢総研だより)に掲載された内容を転載・再編集しています。

 

はじめまして。夢総研2年目社員の武村です。

 

実は私、入社までは機械に頼らない「完全手作業」での稲作栽培しか経験したことがなく、ある意味全くの稲作初心者でした…! そこで入社2年目のこの春、稲作の機械化一貫体系を習得するべく、ほ場1枚を任されて米作りに挑戦することになりました!

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概要

テーマ登録日2023.12.14

密播疎植とは?

どうやって栽培していこうか…??と考えた時に、真っ先にやってみたいと思ったのが「密播疎植」

省力・低コスト化を追求した新技術として色々勉強する中で、
・密播苗と慣行苗では育苗段階で本当に差が出るの?
・密播疎植で実際に田植えしたらどんな感じ?
・田植え後の様子にも差が出るの?
・収量への影響は?
などなど、知りたいことがたくさんありました。

今回は、これらの知りたい!やってみたい!を叶える絶好のチャンスなのでは…!?!?

ということで、密播疎植での栽培にチャレンジすることを決意!

本編では、実際に密播疎植で育苗から田植えまでを行ってみた速報をお届けしたいと思います!


レポート1

最終更新日2023.12.14

密播苗の様子

4月24日に以下の条件で密播苗の播種を行いました。
・播種量:乾籾220g/箱
・培土:ヰセキ培土ライト(軽量培土)

ちなみに、慣行苗の播種量は乾籾130g/箱なので、一箱当たり90g多く播種したことになります!

途中、草丈の伸びがいまいちで心配しましたが、播種から17日後の田植え当日には不安は解消!

さらに様子を観察してみると、
・慣行苗に劣らない葉色
・根の張りが良い

・若干茎が細め
という特徴があることがわかりました。

今回感じた密播苗育苗の特徴は大きく分けて2つ。

①苗箱が少ないので省スペース、管理も楽!!
密播では、厚播きの苗を少量でかき取って植えるため、苗箱数を減らすことができます。37株植えの疎植栽培で比較すると、10a当たりの苗箱数は、慣行苗:10.2枚→密播苗:6.4枚とおよそ4枚削減することができます

実際に育苗してみると、はっきりとその恩恵を実感することができました。

まず、播種作業で地味に疲れるのが苗箱並べ。今回は苗箱が少なかったので、この作業もいつもサクッとより楽に感じました!さらに、並べた自分の苗箱と他のほ場の苗箱を見比べると、明らかに密播苗のほうが省スペース!

その後の毎日の水やりも省力化できていいことづくしでした!

②根の張りが良い!!
密播苗より4日早く播種していた慣行苗と遜色ないマット形成が見られました。

密集して播く分、マット形成が早い傾向にあることを実感!「密播苗は老化しやすいから、育苗期間は慣行苗と同じか少し短めに設定するのがいいよ!」という先輩のアドバイスを思い出して、なるほど!!と思いました。


レポート2

最終更新日2023.12.14

密播疎植で田植えをやってみた

播種から17日後の5月11日に、密播疎植で田植えを行いました。
田植えをやってみて、良かったな!!と感じた点は大きく分けて2つ。

①密播疎植の田植機での設定が簡単!!
通常の設定から変更したのは、たったの3か所のみ!

・株数切替レバー→植付株数37
・苗取量調節レバー→縦かき取り量9mm
・横送りレバー→横送り回数28回

田植機の扱いに慣れていない私でも、簡単に設定することができました。

ちなみに、総かき取り量は最初8mmに調整しましたが、試し植え時に植付本数が1本になることがあったので、9mmに調整し直しました。さらに今回は、より精度を上げるため、少量かき取りをサポートするオプション部品として、「密播時苗取口規制プレート」を使用しました。

こちらのオプション部品も、なんとワンタッチで取付が完了!!

慣行と違った植え方をするには複雑な調整が必要なのでは…と内心不安だった私は、拍子抜けするくらいスムーズに設定できました!

②苗箱が減るので苗の運搬、苗補給が楽ちん!!
今回、密播疎植(37株植え)で43aのほ場を田植えした結果、使用した苗箱は29枚(6.7枚/10a)

慣行60株植えで同様の面積田植えした場合必要となるのは71枚(16.5枚/10a)。そのため、密播疎植で田植えしたことで、42枚(9.8枚/10a)も苗箱を削減できたことになります!苗箱が少ないことで、苗の運搬、苗補給が楽になるだけでなく、苗補給の回数が少なくて済むので、作業時間の短縮にもなると感じました。

これらの良かった点に対し、少し不安に感じたことは、植付後の見た目が頼りないという点です。

苗箱の段階では苗が密集していて1本1本の細さが目立ちませんでしたが、1株ずつほ場に植付けられるとひょろひょろとした見た目になり、ちゃんと生育していくのか不安になりました。

水入れ後の浮き苗や、分げつがちゃんと増えていくのかが心配なので、今後の生育調査で追っていきたいと思います!

まとめると…

密播疎植、田植えまではとにかく楽できるところが多い!!


レポート3

最終更新日2023.12.14

初めての田植えを通じて感じたこと

今回の田植えでは、直進・旋回アシストを搭載したISEKI最新の田植機PRJ8を使用しましたが、最初は田植えの大変さを実感するため、すべて手動操作で挑戦。

初めての田植えで感じたことは…

まっすぐ走るの難しい~~!!

常にハンドルを握りしめて、マーカー跡とにらめっこ、という状況で、欠株の有無や植付姿勢を都度確認する余裕はまったくありませんでした…。

その後、先輩からの許可が出て直進アシストを使ってみたところ、アシストの偉大さを実感!!

田植え初心者でも、アシストを使うことで、後ろを振り返って植付精度まで確認しながら綺麗に田植えできちゃいました!

植付跡が綺麗だと、今後の管理や収穫作業もやりやすくてよいですね。

一人でも多くの方に、この直進アシストを使ってみてもらいたいと思いました!