実証

2023.12.14更新者:ISEKI

微生物資材「納豆菌の力」の効果!

微生物資材「納豆菌の力」の効果!

※本記事は2020年8月31日、2021年3月25日に井関農機㈱のHP(夢総研だより)に掲載された内容を転載・再編集しています。

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概要

テーマ登録日2023.12.14

微生物資材「納豆菌の力」

皆さん、納豆菌って知っていますか?

そう、私たちが良く食べている納豆を作る微生物のことです。

実は、その納豆菌の仲間は土壌環境を整えてくれるんです。

今回紹介するのは、「納豆菌の力」という微生物資材です。


レポート1

最終更新日2023.12.14

「納豆菌の力」って?

「納豆菌の力」とは、土壌微生物のバランスを短期間で整え、作物を育てやすい土へと改善する、微生物土壌活性材です。

良い土壌は化学性・物理性・生物性のバランスが重要です。土の中には多くの微生物が生息しています。農薬や化学肥料ばかりを連用すると、土壌微生物のバランスが崩れた土壌となります。

近年多発している異常気象などの環境変化に対応でき、品質の良い作物を育てるために、土壌微生物の改善が再認識されています。生物性の改善には、有機物の投入を長期にわたり行う方法が一般的で効果が出るのに時間がかかりますが、「納豆菌の力」を使えば、短期間で土壌微生物のバランスを整えてくれます。

納豆菌は枯草菌と呼ばれる細菌の一種です。土壌中に生息する菌の中でも最初に有機物の分解に働く菌で、食物連鎖ピラミッドの一番下の位置にあたります。

「納豆菌の力」とは、そんな枯草菌を数種類ブレンドしたものです。納豆菌の力の施用によってワラなどの大きな有機物を分解してくれる菌が増え、全体の微生物が増加することで良質な土作りに貢献します。そうして有機物の分解が促進されると、作物に必要な栄養分が補給されます。

また、「納豆菌の力」に含まれている枯草菌は発根促進物質を供給するため、根はりが良くなる環境を作り出します。さらに、土壌微生物の種類や数の増加によって拮抗作用が働き、病原菌が働きにくい環境に変化させてくれるのです。


レポート2

最終更新日2023.12.14

どうやって使うの?

「納豆菌の力」には1mlに、10億個もの菌が含まれています。

この菌を圃場全体に広めるため、野菜栽培では10a、水稲では1haにボトル1本(500ml)入るように散布します!

<使用方法>

●水稲(1haに500ml)
苗散布     移植1週間前~当日に、1ha分の使用する苗に希釈して散布(かん水する水に混ぜてください)
田植え同時散布 滴下マン(液剤散布機)で10倍希釈液を500ml/10aで散布

●野菜(10aに500ml)
苗散布   移植1週間前~当日に、10a分の苗に希釈して散布
土壌散布  播種後や移植後に土壌散布
移植機散布 移植機のかん水装置で散布


レポート3

最終更新日2023.12.14

ISEKIスマートファームでの事例

苗に希釈した液を測り取ってジョウロで水をやるのはちょっと大変! そういう方のために、手軽に散布できる方法について、ISEKIスマートファームで実証試験を行っています。

ここでは、2つの事例と結果を報告致します。

【水稲での事例】
「ヰセキの田植機と液剤散布装置の「滴下マン」を使えば、移植同時で散布することが可能です。
2020年5月11日、田植えと同時に液剤散布機「滴下マン」で「納豆菌の力」を同時散布し、水稲の栽培を開始しました。

植付けて一か月後に抜取り調査をしてみると、納豆菌の力で下記の効果が見られました!

①根張りが良くなった!
②一本当たりの分げつ数が増える傾向が見られた!

【タマネギでの事例】
ヰセキの野菜移植機のかん水装置を使えば、移植同時で散布することが可能です。2019年11月22日に野菜移植機で「納豆菌の力」を同時散布し、タマネギを栽培しました。「納豆菌の力」を使用した効果として、下記のような結果が得られました。

①球の肥大促進で収量が増加した!
②生育過程において、べト病等の病気にかかりにく健全に生育した!

色々な作物で結果が出ています!


レポート4

最終更新日2023.12.14

「納豆菌の力」をいろいろな作物に使用しました

夢総研でテストした春時期の作物の結果をご紹介します。

「納豆菌の力」は作物に合わせて、いろいろな方法で使用できます。

基本的な使用量は

・水稲:500ml/ha

・野菜:500ml/10a

です。

今回ご紹介したテストでは、下記の方法で使用しました。

使い方は主に3パターンです。

・苗に散布する場合

移植1週間前~前日の苗に、「納豆菌の力」をかん水する方法です。「納豆菌の力」500ml が、野菜では10a、水稲では1ha 分の苗にいきわたるように希釈し、1L/ 箱程度でかん水します。

水稲の例:苗箱を20 枚/10a 使う場合
20L の水に50ml の「納豆菌の力」を投入し、1L/ 箱程度でかん水します。

野菜の例:苗箱を30 枚/10a 使う場合
30L の水に500ml の「納豆菌の力」を投入し、1L/ 箱程度でかん水します。

・移植同時かん水の場合
野菜移植機のかん水装置を使用し、移植と同時に「納豆菌の力」をかん水する方法です。「納豆菌の力」500mlが、10aの圃場にかん水されるように希釈します。

正確な希釈倍率を知りたい場合は、下記の式で求めることができます。
希釈倍率かん水量(ml/株)× 植付本数(株/10a)÷500

例:かん水量 10ml/株、植付本数 10000株/10a、20L かん水タンクの場合

20L かん水タンクに100ml の「納豆菌の力」を投入しかん水します(200倍に希釈してかん水することになります)。

・土壌又は葉面散布の場合
播種前後や生育途中に、10a に散布する水に500mlの「納豆菌の力」を希釈して散布する方法です。除草剤等と混用可能なので、初期除草剤と一緒に散布できます。

この記事を見て、納豆菌…ではなく「納豆菌の力」が気になった方も多いのではないでしょうか?

夢総研では、これからもテストする作物を増やしていく予定です。

来年の水稲栽培や、これからの作物に納豆菌の力をぜひ使ってみてください。