低コスト農業の現場から 三重県の皆さんから疎植の便りが届きました
三重ヰセキ販売 直販部長 大谷安昭 三重県の皆さんから疎植の便りが届きました
現地研修などソフト面からのサポートが重要です。
平成13年、県内3カ所で疎植仕様田植機の実演機による現地研修を実施したのが、三重県における疎植普及の始まりです。私たちが疎植栽培の普及拡大をめざしたのは、疎植栽培によるコストダウンと省力化はこれからの稲作農業経営には不可欠の要素であり、そのメリットは経営規模の大小を問わず享受できるものだと考えたからです。
三重県は南北に広く、海沿いの平野部から内陸の山間部まで多様な地域特性をもつ県です。しかし、疎植栽培はその土地の条件に応じた栽培管理ができれば、土壌や気候に影響を受けにくい栽培方法です。
三重ヰセキ販売では、疎植栽培に適したオリジナルの肥料設計を提案する一方で、14年から毎年、田植え前の座学研修と田植え後の現地研修(年30回程度)を実施し、生産者の皆さんの疎植栽培に対する不安を解消することに傾注しました。
こうした活動の結果、研修実施エリアにおける疎植実施者は年々増加を続けています。三重ヰセキ販売では、機械の提案だけでなく、お客様が求める低コスト化ニーズに対し、栽培技術などソフト面からの提案・サポートができる体制づくりをさらに進め、社員一人ひとりがお客様の相談にお応えできるようレベルアップに努めています。
とにかく10aあたりの原価を安くあげたいんです。
名刺の肩書きは「農業(コシヒカリ専門)」。
独自路線に徹し、個人向けの年間契約で全収量の約9割を売り切る。
作付面積1.1ha。今年初めて25aで37株植/坪を採用。
「有機肥料と低農薬でつくった純正コシヒカリです」とアピールして、出かけた先々で知り合った人に営業しています。昔、販売の仕事をしていたものですから、セールスが得意なんです。大概のお客さんはリピーターになってくれます。
牛糞堆肥をベースにした土づくりで年数を重ね、土壌は年々良くなっています。農薬は適量適期。「余分なことはしやへんけど、やるべきことはやる」という栽培方針です。
中途半端な面積なので、コストダウンの意識は常にあります。面積が増えればそれだけ苗の費用(育苗センターから購入)負担も大きくなるわけですから。
一昨年まではすべて70株植/坪でしたが、昨年から50株植に切り替え、今年は25aで37株植の試験栽培をやりました。37株植ができると知って、初めてヰセキの田植機を買ったんです。一昨年の苗箱数は0.9haで180枚、今年は1.1haに増えたのに150枚に抑えることができました。
37株植は施肥量が合わず、必ずしも満足いく出来ではなかったのですが、それでも50株植と同等に穫れました。
肥料設計さえきちんとできれば37株植で9俵はいける感触を得ることができました。粒が大きくなるので食味向上の期待もあります。
今年は出穂期に長雨が続いた影響で全体に小粒だったみたいですが、そんな中でも8俵穫れたのですから「良し」とすべきでしょう。
コストダウンの目途も立ったので、来年は全作付けを37株植にして、コンスタントに9俵穫れるようになりたいですね。
3ha圃場の田植えも37株植なら1日で終わるようになりました。地域農業のリーダー。認定農業者として集落の農地約25haを担当。
作付面積25ha(水稲5.5ha・麦・大豆11.5ha・受託作業3.5haほか)。
37株植/坪は4年前から採用(21年度は3ha)。
1区画3haの圃場の田植えは、早朝から暗くなるまで作業しても終わらないんです。苗箱数は60株植で540枚。田植機1台に補助者2人でやっていますが、苗運搬は大きな負担になります。4年前に37株植の田植機を導入したのも、こうした事情があるからです。
37株植なら3ha圃場で約330枚。もちろん1枚700円(購入価格)の苗代も助かります。
苗補給の回数を減らすことができれば、作業時間も短縮できます。37株植なら1回の苗補給で60株植より2往復余計に走れるので、3ha圃場でも1日で作業が終わります。うちのカミさんもかなり楽になったみたいです。
初年度は「分けつするのか?」「収量はどうだろうか?」と不安もありましたが、60株植と同等に穫れました。収量が同等で苗代が助かるのだから全部37株植でもいいのですが、田植機2台体制でやっているので(1台は37株植未対応)、今のところ疎植は3ha。37株植の面積は自然と増えていくでしょう。
この地区は水稲と麦・大豆とのブロックローテーションです。
今年は大豆あとに追肥をやり過ぎて60株植の稲は倒伏してしまいましたが、37株植は腰が強いおかげで倒れませんでした。
来年から、大豆あとは元肥なし、穂肥は様子を見ながらやるようにします。今、肥料の値段は数年前よりかなり高くなっています。これからは、育苗コストの削減だけでなく、肥料を最小限に抑える工夫も経営のポイントになってくると思います。
37株植で初めて8俵穫れました!受託面積の拡大をめざす若手のホープ。近隣農家の高齢化に伴う農地の集積によって専業に転じ3年目。作付面積は7.5ha(コシヒカリとキヌヒカリ)。21年度から50aで37株植/坪を採用。
4年前まで親父の手伝い程度に兼業でやっていましたが、高齢化が進んでどんどん受託面積が増えていくので、それなら農業の方が面白いなと思ってこの道一本で行こうと決めました。まだまだ勉強中の身なので、今は隣町のベテラン経営者のところで週4日、修行させてもらっています。
この春、新しい田植機を導入したのを機に、37株植/坪に挑戦してみました。ただ、雑草が心配だったので、除草剤の効果が安定する水持ちの良い田んぼを選んでやりました。
今年は天候の影響で、三重県北部は全体的に倒伏が多かったのですが、37株植の稲は倒れませんでした。しかも収量は8俵。コシヒカリで8俵穫ったのは初めてのことです。その結果を見て、隣町の師匠も来年は疎植をやってみると言っていました。師匠にもちょっと認めてもらえたみたいで嬉しかったです。
来年は、水持ちのいい田んぼはすべて(2.5ha)37株植にしたいですね。キヌヒカリでもやるつもりです。
水管理さえしっかりできれば雑草は抑えられるし、上手くできる確信ができました。
当面の目標は20ha。その半分は37株植でやりたいですね。
今は800枚ほど苗をつくっていますが、さらに面積が増えるとなると育苗コストの削減が不可欠なので。今年はプラスになると思うのですが、昨年と一昨年の確定申告はマイナスだったので、コスト意識は常にもつようにしています。
考えていたよりも面積の増え方が急なので、来年からは作業計画を立て、作業の効率化と、より一層の面積拡大に頑張っていきたいと思います。