実証

2023.12.14更新者:ISEKI

直播チャレンジ カルパー編

直播チャレンジ カルパー編

※本記事は2015年に井関農機㈱のHP(夢総研だより)に掲載された内容を転載・再編集しています。

 

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概要

テーマ登録日2023.12.14

直播栽培に挑戦!

夢ある農業ソリューション推進部が、直播栽培に挑戦しました。 その一部始終をライブ感満載でお届けします。


レポート1

最終更新日2023.12.14

3月27日 均平作業

直播栽培では圃場の均平をとることが非常に重要です。

レーザーレベラーで圃場を均平化させました。低い場所は水が溜まって種子が呼吸できなくなります。高いところは除草剤が効かず雑草が繁茂します。高いところから低いところへ土を持っていきます。


レポート2

最終更新日2023.12.14

4月7日 畔塗り

直播栽培では水管理が重要な役割を担います。漏水して水が抜けないように畔塗りをしっかり行います。


レポート3

最終更新日2023.12.14

5月12~19日 浸種、催芽

カルパーコーティングでは催芽籾(鳩胸状態)を用いるので、種子を浸種・催芽させる必要があります。

浸種は13℃で7日間。

10~15℃で積算100℃程度になるように種籾を水に浸けます。

吸水が目的です。

その後、催芽は2日間。水温を32℃にして、浸種した籾の芽を動かします。芽が伸びすぎたり根が出たりするとコーティングがうまくできなくなるので注意が必要です。

芽が出る部分が割れている程度がちょうどいい鳩胸状態です。


レポート4

最終更新日2023.12.14

5月19日 コーティング

催芽籾を脱水機にかけてコーティングマシンでコーティングしました。コーティング比は1倍重。

種子「ゆめひたち」 乾籾16㎏
カルパー粉粒剤     16㎏

籾を投入して「カルパー粉粒剤を少々入れる→加水する」を繰り返しました。

8㎏ずつコーティングして合計40分くらいでコーティング完了。

あとは30分ほど乾かして冷暗所で保管します。


レポート5

最終更新日2023.12.14

5月18日 代かき

カルパー直播は湛水直播なので代かきを行います。

代かき後は1~2日泥を落ち着かせます。


レポート6

最終更新日2023.12.14

5月20日 播種

直播栽培で播種作業を行う際は田面の硬さに注意しなければなりません。

播種前には田面をひたひた水の状態にしておきます。圃場が固すぎると覆土できず種子が露出してしまうので、鳥害に遭う可能性があります。

直播機は溝を切りながら播種していきます。

溝ができることで圃場内の水の移動がスムーズになります。

播種量 乾籾2.8kg//10a 50株/坪 5粒/株

カルパーは播種後、落水管理します。


レポート7

最終更新日2023.12.14

5月26日 出芽確認【播種後7日目】

播種後の落水管理で圃場に軽くひびが入っています。

6日経過しましたが、天候も味方して既にほとんどが出芽しました。

まだ一葉は展開しきっていませんので、一葉が展開したら入水し除草剤をまきます。


レポート8

最終更新日2023.12.14

5月30日 1葉期 除草剤散布【播種後11日目】

1葉期が過ぎたので入水し湛水状態にして、除草剤をまきました。

イノーバDXアップ1キロ粒剤 1kg/10a 粒剤散布機で散布

イネミズゾウムシが発生しはじめました。


レポート9

最終更新日2023.12.14

6月6日 3葉期【播種後18日目】

現在3.0葉期くらいです。直播栽培は不完全葉からも分げつが発生します。
(移植の場合はかきとりの際に根が傷むため不完全葉からは分げつが発生しないといわれています)

イネミズゾウムシの被害が出てきました。箱剤を使っていないデメリットです。イネミズゾウムシの食害のあとは葉が白くなります。あまりにひどいと圃場全体が白くなることもあるそうです。

除草剤は効いていますが、ホタルイの発生が心配です。


レポート10

最終更新日2023.12.14

6月11日 【播種後23日目】

4.0葉期程度でした。初期剤のイノーバDXアップ(5/30散布)だけでは雑草を防ぎきれなかったです。とくにホタルイが多いです。

ワイドアタックSCという強力な除草剤を試してみようと思います。


レポート11

最終更新日2023.12.14

6月15日 除草剤散布【播種後27日目】

ワイドアタックSC(中期剤)を散布しました。散布時は落水します。

ワイドアタックSC 1000倍希釈 100?/10a

ワイドアタックSC散布後は2日間落水状態にします。


レポート12

最終更新日2023.12.14

6月20日【播種後32日目】

分げつも進んで移植と遜色ない状態となりました。

茎数は19本程度です。除草剤の効果でヒエは完全に抑えられました。

ホタルイにもじわじわ効いています。


レポート13

最終更新日2023.12.14

7月22日 幼穂形成期【播種後64日】

幼穂が5mm程度形成されていました。

ここから出穂予測をすると19日後なので8月11日頃になります(茨城県のゆめひたち出穂予測より)。

同時期に移植したゆめひたちは幼穂が15mm程度でした。こちらは8月6日頃に出穂予定です。 この時期に籾数が決まるので、水を切らさないように!


レポート14

最終更新日2023.12.14

7月30日 穂ばらみ期【播種後72日】

現在穂ばらみ期です。出穂が待ち 遠しいです。

7月中旬頃からイネツトムシ(イチモンジセセリの幼虫)の被害が増加し始めました。 稲の葉をくっつけて「つと(苞)」様の巣をつくるのでイネツトムシと呼ばれています。

短稈品種なので窒素を多く入れたところ、葉色が濃くなり虫に食べられやすくなったと思われます。色が濃い葉の中には糖分が多く含まれているためです。

翌日には害虫防除として「なげこみトレボン」を、いもち対策として「オリブライト250G」を施用しました。

なげこみトレボン 10本/10a
オリブライト250G 250g/10a


レポート15

最終更新日2023.12.14

8月17日 穂ぞろい期【播種後91日】

幼穂からの予測通り8月11日に出穂して、8月17日には穂ぞろい期に入りました。移植に比べ3日ほど遅いです。

イネツトムシの成虫「イチモンジセセリ」を発見しました。


レポート16

最終更新日2023.12.14

8月31日 登熟期【播種後104日】

登熟期に入っています。出穂期からの積算温度は483℃です。

困ったことに用水路の水が切れてしまい、排水路からポンプで水を引き揚げて対応しました。

直播栽培は、登熟期まで水がしっかり確保できる田んぼでやるべきだと思いました。

イヌホタルイ(雑草)につられてカメムシが発生しています。

カメムシは斑点米の発生原因です。


レポート17

最終更新日2023.12.14

9月28日 収穫【播種後132日】

ついに収穫を迎えました。黄化率は9割程度です。

倒伏もなく、無事に収穫できてひと安心です。

移植と遜色のない稲体で、収量も期待できます。坪刈をして収量、品質を調査します。